字喃(チュノム) 2001.12.23日経新聞
        
 
 



  東アジア地域における中国文化の影響は計り知れないものがある。その一つが漢字である。我が国をはじめ、韓国(朝鮮)、東南アジアの国々には漢字、または漢字に似せた漢字もどきのものを使用している。ベトナムではもっとも漢字に近いと思われる字喃が20世紀初頭まで、文学、歴史書、公文書で用いられてきた。ところが、現在ではローマ字化したベトナム語が普及し、研究者でさえ漢字に精通している者が少ないとのこと。このような状況の中で最近漢字に対する関心が高まっているようだ。研究者はもとより一般の人の中にも漢字を勉強する者も現れ始めた。
 ベトナム語自体、単語の6割は漢字に由来しており、また漢字文献の保存活動も政府を中心にして始まった。漢字を理解することによってベトナム独自の伝統文化の理解も深まることになる。ここにきて政治的なしがらみから解放され、ベトナムも地に足がついてきたような気がする。