スターリンが描いた落書き 2002.11.6産経新聞
        
 
 



 スターリンが書いたとされる落書きが、ロシアのスターリン研究者イリザーロフ氏(ロシア歴史大学教授)の著書の中に掲載された。一枚はとてもショッキングなものだが、コミカルでもある。それは、1930年3月5日に描かれたとされるもので、当時のブリュハーノフ財務人民委員が裸にされてしかも男性器をひもで縛られ滑車で吊し上げられているものである。当時の財政・経済状態がふるわない責任を彼に押しつけたい意図が現れている。結局彼は、スターリン大粛正2年目の1938年9月1日、59歳で銃殺されている。しかし、この絵を見て思うのは、確かに彼の残虐な一面がでているが、その絵自体はブリュハーノフの特徴をよく表しておりよく描けている。
 またもう1枚は、第12回党大会が開かれた1923年4月17日の直前の政治局会議で報告するジノビエフ政治局員の顔を描いたものである。しかし、書き進めるうちにジノビエフからブハーリンにそしてトロツキーのようになってきた、とイリザーロフ氏は分析する。国外追放、そして最終的には暗殺されるトロツキーをスターリンはよほど憎んでいたと思われる。しかし、スターリンのまた別の一面をかいま見たような気がしておもしろかった。