殷の最後の王、紂王の兄の墓発見 2002.11.23毎日新聞
中国河南省、商丘の南で発掘されている「長子口墓」と名付けられた墓が、殷の最後の王・紂王(ちゅうおう)の兄の微子(びし)のものであることが、松丸道雄・東京大学名誉教授の調査と中国研究者の協力で明らかになった。司馬遷の歴史書『史記』に登場してくる人物で実際に墓が特定されたのは初めてであり、その調査が注目されている。
松丸先生によると、@発掘墓がかつての宋(周時代の)国内で発掘されたA発掘青銅器の年代が殷から西周初期にかかっているB君主クラスの大墓C13人の殉葬者が埋められ、墓主の腰付近に死後の世界の案内役である犬と犬遣いの骨が発見されるなど、典型的な殷の貴人墓D墓主の人骨の鑑定で60歳くらいと文献上の微子と一致E「長子」は「微子」と同一人物であることが「呂氏春秋」に記載されている、などから断定した。
文字の解読からかなりの激しい論争が交わされたが、結局最後のEが決めてとなり今回の発表となったようだ。これで殷王朝については目星がつき、次は伝説上の王朝夏に注目が集まる。