アボリジニ 2001.1.9毎日新聞・読売新聞 



 1月9日付けの新聞では2紙がアボリジニについて取り上げた。
 アボリジニについてはシドニーオリンピックでの開会式でのアトラクションや最終聖火ランナーにキャシー・フリーマン(アボリジニ)を選ぶなど随分融和が進んでいるという印象をもっていた。ところがこの二つの記事を読む限り問題は根深い。
 新たに認識したことだが、強制的な「里子」政策(「強制隔離政策」)が行われていたというのだ。それは、1890年から1970年頃まで、白人との混血児を児童福祉の名目で親から強制的に隔離し、英語を教え込んで労働力にした、というものである。さらに、無期限の失業保険支給などの福祉漬けの政策は彼らの誇りや労働意欲を喪失させるマイナス効果も生んでいる。
 アボリジニは政府に謝罪と条約を求めている。しかし、政府はこれに応じようとしていない。オーストラリアといえば、かつての「白豪主義」政策は廃止され、多文化主義をめざす国として教えているが、多文化主義と唱えるのであれば、このアボリジニ問題についてきちんと清算する必要があろう。