イスラムの多様性 2001.2.3朝日新聞 



  またまた、イスラムである。「味の素」事件に関連して奥野克己京都文教大講師が「『イスラームは厳格』か」と題して寄稿している。一口にイスラムといってもそれぞれの国で様々であり、お国事情を反映する、つまりイスラムの多様性を強調している。
 例えば、国民の9割がムスリムであるエジプトでは、豚肉を食べないことは当たり前のことであり、豚肉禁止に対する具体的な方法や表現がとられない。一方、インドネシアの場合、問題になった「ハラール表示」が目立つという。これは何を意味しているかというと、「豚肉禁止をめぐる安全と危険の区分が日常化している状況」であるという。このように豚肉の飲食一つをとってもその多様性が示されるのである。したがって、一律にイスラム諸国を理解することはできないのである。それぞれの国(地域)の歴史や社会を検証して臨まなくてはならない。