敗者の歴史 2001.2.9毎日新聞
ドイツ文学が専門の大宮勘一郎共立女子大学助教授が「『敗者の語る歴史』の不在」と題して、旧東ドイツ社会のことを題材として取り上げないドイツ作家について言及している。わたしはこの「敗者の歴史」という言葉に目を奪われた。歴史というものは人の目を通して、人が書くものである。当然、時代が変われば、また書く人が変われば、歴史も変わる。そして歴史はこれまで常に「勝者の歴史」であった。21世紀という新たな世紀を迎えた今、歴史に関わる人もまた、それを享受する人も歴史に対するスタンスの取り方を再考すべきではないか。よりグローバルに、それこそ「世界史的」なものの見方をしなければならないと思う。