口蹄疫とイスラム教 2001.3.7朝日新聞
最近ニュースを聞いているとやたらと耳にするのがこの「口蹄疫」(こうていえき)。栄養ドリンクの名前と思いきや家畜伝染病の名前であった。その口蹄疫のためにパリのイスラム教徒が困っているとのこと。実はイスラム教の年に一度のお祭り「犠牲祭」に欠かせない羊の肉が口蹄疫のために手に入らないのだそうだ。
まず「犠牲祭」とはメッカ巡礼の最終日から四日間続くお祭りで、普段は口にできない肉を腹一杯食べることができる機会である。ところが口蹄疫がイギリスで流行ったために、フランス政府が外国産の家畜の輸入禁止という措置をとりこういう事態が発生したようである。しかし、このニュースが中近東やアフリカからでなくフランスからであるのに驚いた。フランスには結構イスラム教徒が存在するのである。地中海をはさんで対岸はアフリカ、ここからの移民にイスラム教徒が多い。狂牛病の次は口蹄疫、家畜の伝染病とはいえ、我々の口に入るものであるからやはり恐い。きちんとした対策を望むものである。