ヒトの起源 2001.10.16朝日新聞
最新の発掘成果から、ヒトはいつ、どこで生まれたのかが、一つ一つ明らかにされてきている。まず、年代であるが毎年のように遡っていく。現在では、400〜600年前の化石が出土しており、類人猿とヒトとが分化していった時代に限りなく近づいている。
それでは、何の違いから類人猿とヒトとを区別するのか、普通は二足歩行であるかどうかを指標とする。しかし、最近出土したラミダス猿人(約440万年前)の場合は犬歯の特徴から分類している。また、オロリン・ツゲネンシス(約600万年前)は歯のエナメル質の厚みによって分類している。
さらに研究は深化し、どんな環境がヒトを二足歩行させたのか、というところに到達する。これまではアフリカ東部の大地溝帯より東側の草原地方より化石が出土しているため「草原説」が有力であった。ところが、この説が現在揺らいでいる。先のラミダス人の化石とともにサルやカモシカの化石が出土しているからだ。
しかし、気の遠くなる話ではある。ただ年代確定技術は格段に進化しており、生物学の進歩とともに「ヒト」も明らかにされていくであろう。