チンギス・ハーンの墓 2002.10.11読売新聞
        
 
 



 日本・中国・モンゴル3国による合同調査が2年目を迎えた。モンゴル帝国の初代皇帝チンギス・ハーンの廟ではないかと思われる遺構が発掘されるなどその成果が注目されている。発掘調査が進んでいるのはモンゴルの首都ウランバートルから車で6時間ほど東にいったアウラガ遺跡。
 今年の発掘では、4層の遺構が確認され、それは古い順に@掘っ立て柱A宋尺間隔の礎石列(唐尺の礎石を含む)B土壁C凸字形の石壁、であった。昨年の発掘では、AとCが発見され、Aの唐尺の礎石が、チンギス・ハーンのそして、Cが2代皇帝オゴタイ・ハーンの幕舎跡と見られていた。同じ建物の中に、礎石を用いた柱と掘っ立て柱が同時に使用されるのは不自然、大幅な見解の修正が必要となった。
 調査隊では、Aの唐尺の礎石は後に建てられた宋尺の建物に転用されたものと考え、@もしくはAの前半がチンギスの幕舎跡、Aの前半か後半がオゴタイの幕舎跡、そしてCは13世紀末以降に建てられた祭祀施設と推測している。
 いずれにしても、モンゴル帝国初期の歴史の解明がこれによって大きく前進することが考えられる。日本単独の調査ではなく、中国・モンゴルの合同調査であるのにも意義があるし、今後発掘調査が期待される。